人生最後のダイエット

GLP-1とは?その役割と治療薬について詳しく解説

健美クリニックへのお問い合わせで特に多いのが、「GLP-1って何ですか?」というものです。
GLP-1を正しく理解するためには、まず消化に関わるホルモンについて知る必要があります。

私たちの身体は、ブドウ糖をエネルギーに変える過程を円滑に進めるため、血液中のブドウ糖濃度を一定に保つ様々なホルモンを分泌しています。
すい臓から分泌されるインスリンは血糖値を下げる役割があり、比較的よく知られていますが、他にもグルカゴンやインクレチンなどのホルモンが血糖調整に関わっています。

インクレチンとGLP-1

インクレチンは小腸から分泌されるホルモンで、インスリンの分泌を促進し、グルカゴンの分泌を抑制します。
インクレチンにはGIP(胃抑制ポリペプチド)やGLP-1(グルカゴン様ペプチド-1)があり、特にGLP-1は血糖値の調整において重要な役割を果たしています。

GLP-1の役割

GLP-1は食事を摂ると小腸から分泌され、その一部が血液を通じてすい臓へ運ばれます。
すい臓にはインスリンを分泌するβ細胞があり、ここにはGLP-1を受け取る受容体(GLP-1受容体)があります。
GLP-1がこの受容体に結合すると、インスリン分泌のスイッチが入り、インスリンが分泌されて血糖値が下がります。
この作用は血糖値が高い場合にのみ発揮されます。

GLP-1受容体作動薬の適用

健美クリニックでは、糖尿病治療として、血糖値の上昇を抑制するためにGLP-1受容体作動薬を処方することがあります。
これらの薬は、GLP-1を製剤化したもので、インスリン分泌を促進し、血糖値を下げる働きをします。
GLP-1受容体作動薬は、糖尿病治療の重要なツールとなっています。

GLP-1受容体作動薬に関するエビデンスとデータ

GLP-1受容体作動薬の有効性と安全性について、多くの研究が行われ、その結果がエビデンスとして報告されています。
以下にいくつかの主要な研究結果を紹介します。

LEADER試験(2016年)

この大規模な臨床試験では、リラグルチド(GLP-1受容体作動薬の一つ)が2型糖尿病患者の血糖値を有意に改善し、心血管イベントのリスクを13%低減することが示されました 。

SUSTAIN-6試験

セマグルチド(GLP-1受容体作動薬の一つ)が、2型糖尿病患者において、プラセボと比較して主要心血管イベントのリスクを26%低減することが確認されました 。

これらの試験結果から、GLP-1受容体作動薬は血糖値の管理だけでなく、心血管リスクの低減にも効果があることがわかります。

GLP-1受容体作動薬の作用機序

GLP-1には、以下の主要な作用機序があります。

インスリン分泌の促進

GLP-1は、すい臓のβ細胞に作用してインスリンの分泌を促進し、食後の血糖値の急上昇を防ぎます。

グルカゴン分泌の抑制

GLP-1は、すい臓のα細胞に作用してグルカゴンの分泌を抑制し、血糖値の安定化を図ります。

食欲の抑制

GLP-1は中枢神経系に作用して食欲を抑制し、摂取カロリーの減少を促します。

胃内容排出の遅延

GLP-1は胃の内容物の排出を遅らせる作用があり、これにより食後の血糖値の急上昇を防ぎます。

GLP-1受容体作動薬の副作用

GLP-1受容体作動薬には、以下のような副作用が報告されています。

消化器症状

吐き気、嘔吐、下痢、便秘などが一般的で、これらの症状は通常、薬の使用を継続することで軽減されます。

低血糖

特に他の糖尿病治療薬と併用した場合、低血糖のリスクが増加することがあります。適切なモニタリングが必要です。

アレルギー反応

まれに、発疹、かゆみ、呼吸困難などのアレルギー反応が発生することがあります。これらの症状が現れた場合は、直ちに医師に相談してください。

GLP-1受容体作動薬の使用に関する指導

健美クリニックでは、GLP-1受容体作動薬の使用にあたり、その特性を理解し、正しく利用することを重視しています。
使用に際しては、以下の点に留意してください。

使用方法

医師の指示に従い、正確に使用してください。
自己注射の場合、正しい方法を学ぶことが重要です。

定期的なフォローアップ

定期的に医師の診察を受け、効果と副作用の確認を行います。
必要に応じて薬の調整が行われます。

生活習慣の改善

GLP-1受容体作動薬の効果を最大限に引き出すためには、適切な食事と運動を併用することが重要です。
医師や栄養士の指導に従い、生活習慣を改善しましょう。

まとめ

GLP-1受容体作動薬は、血糖値を下げるための重要な治療薬です。
消化管ホルモンであるGLP-1の作用を利用して、インスリン分泌を促進し、血糖値をコントロールします。
健美クリニックでは、専門医の指導のもとでGLP-1受容体作動薬を適切に利用し、患者の健康管理をサポートしています。
GLP-1受容体作動薬の使用に関する正しい知識と理解を持ち、健康な生活を目指しましょう。

参考文献
Diabetes Care: “Liraglutide and Cardiovascular Outcomes in Type 2 Diabetes” Link
The New England Journal of Medicine: “Semaglutide and Cardiovascular Outcomes in Patients with Type 2 Diabetes” Link
The Lancet: “Effect of Liraglutide on Body Weight in Patients with Type 2 Diabetes: A Randomised, Double-blind, Placebo-controlled Trial” Link

平山医師

医師

Hirayama Takashi

いつでも安心して、専門医に相談できるクリニックで、健康的なダイエットをサポートします。