人生最後のダイエット

GLP-1受容体作動薬 ビクトーザ(ビクトーザ皮下注18mg)について

~使用方法を中心に~

当院で最もよく処方されているGLP-1受容体作動薬 ビクトーザ(ビクトーザ皮下注18mg)についてお話しします。

 

GLP-1とは、もともと私たちの小腸から分泌される消化管ホルモンの一種で、正式名称を「グルカゴン様ペプチド-1(Glucagon-Like Peptide-1)」といい、英語の頭文字をとってGLP-1と呼ばれています。GLP-1は、膵臓でのインスリンの分泌を促進しグルカゴンの分泌を抑制することで、血糖値を低下させる作用があります。この作用によりGLP-1受容体作動薬は2型糖尿病患者さんに広く使用されています。この血糖値を下げる作用に加えて、食欲抑制効果や摂取した食物の胃からの排出を遅らせる効果が注目され、GLP-1受容体作動薬は欧米を中心に、肥満治療に応用されるようになりました。

 

このGLP-1受容体作動薬を使用するにあたり、まず知っておくべきことは注射すれば勝手に痩せる注射ではない!!ことです。このGLP-1受容体作動薬の減量効果のメインの作用は、食欲抑制による摂取カロリーの減少です。いつも満腹になる食事量を10とすると、GLP-1受容体作動薬を使用することで個人差はありますが5~7の食事量で満腹感が得られるようになります。

減量効果を十分に発揮するためには、この満腹感を感じたときに食事を止めることが最も大切です。満腹感を感じていても、実際胃には食物が入るスペースが残っているため、無理すれば食べることが可能です。従って、満腹感を感じているにもかかわらず、いつもと同じ量の食事を摂取し続けると当然のとこながら体重は減りません。いつもより少ない食事摂取量で満腹感が得られ、摂取した食物の胃からの排出を遅らせる効果により次の食事まで空腹感を感じることが少なくなるため、空腹感に耐えて食事を我慢することは少なくなります。

 

次に知ってきたいのが副作用です。

最も多い副作用は消化器症状で、便秘、悪心、下痢、腹部不快感、消化不良、胃不快感、腹部膨満感、嘔吐などです。これらの副作用はGLP-1受容体作動薬を使用して、数日から数週間程度で改善することが多いですが、症状が続く、もしくは増悪し日常生活に支障が出る場合は中止や薬剤変更を考慮する必要があります。また、注射部位に発赤・痒み・かぶれが出現する場合もあります。その場合、GLP-1受容体作動薬を無理に継続せず、担当医師に相談する必要があります。

GLP-1受容体作動薬は、現在1日1回注射タイプのビクトーザ(ビクトーザ皮下注18mg)をはじめ、多くの種類が発売されています。今年の2月には、世界初の内服GLP-1受容体作動薬であるリベルサスも発売されました。今回は、最も当院で処方頻度が多いGLP-1受容体作動薬 ビクトーザ(ビクトーザ皮下注18mg)の使用方法についてお話します。

 

まず、ビクトーザ(ビクトーザ皮下注18mg)の目盛りですが、最小投与量は0.3mgで0.6mg、0.9mg、1.2mg、1.5mg、最大投与量が1.8mgとなっております。(海外で用いられているサクセンダはビクトーザと内容は同じですが、1回最大投与量が3.0mgになっております。)初めてこのビクトーザ(ビクトーザ皮下注18mg)を開始する場合は、最小投与量の0.3mgから開始します。少量から開始する理由は、副作用である消化器症状をできるだけ少なくするためです。早く痩せたい気持ちから、最初から多量のビクトーザを注射した場合、吐き気や嘔吐などの強い副作用のため、治療の継続が困難となり、ますますダイエットに時間がかかることになるため注意が必要です。増量のタイミングですが、基本的には1週間毎に0.3mgを推奨しています。ビクトーザ0.3mgから皮下注射を開始して、消化器症状を認めない場合、もしくは軽い消化器症状が出現しても数日で改善する場合は、食欲抑制効果をみながら0.3mgずつ増量していきます。何mgのビクトーザ皮下注射で、十分な食欲抑制効果が得られるかは個人差が大きく、使用してみないとわからないところがあります。一般的、経験的には、もともとの体重に比例してビクトーザの投与必要量が増えると思われますが、感受性の問題なのでしょうか、100kg以上の体重の方でもビクトーザ最小量の0.3mgで十分な食欲抑制効果が得られることもあります。ビクトーザ(ビクトーザ皮下注18mg)の投与量調節は、定期的な診察の上で医師と相談しながら設定していくことをお勧めします。

 

ビクトーザ注射下で、体重コントロールがうまくいっても、短期間で注射を離脱すると食欲が戻りリバウンドすることがあります。少なくとも半年から1年間は治療を継続して、少ない食事量に身体をしっかり慣れさせることが大切です。将来的にビクトーザを減量・離脱することを考慮して、適切な食事量を意識し習慣づけることを目標にダイエットに取り組んでいくことが重要です。

 

 

 

主な副作用とリスクについて

・治療初期に胃部不快感、胃が張っている感じ、頭痛・便秘・下痢といった消化器症状が出ることがあります。
・治療を続けていくことで、症状が軽減されていきます。ただし、副作用が強い場合は医師にご相談ください。

法定記載事項

  1. 1 )未承認医薬品等であることの明示

    本治療に用いる未承認医薬品等は、美容目的での使用については医薬品医療機器等法上の承認を得ていないものです。

  2. 2 )入手経路等の明示

    当クリニックのGLP-1受容体作動薬は国内販売代理店経由で購入いたしました。

  3. 3 )国内の承認医薬品等の有無

    本治療に用いるGLP-1受容体作動薬は2型糖尿病の治療薬として厚生労働省に承認されています。美容目的(肥満治療薬)での使用については保険適応外の自由診療となります。

  4. 4 )諸外国における安全性等に係る情報の開示

    アメリカのFDA、韓国のMFDS、EU27か国のEMAにおいて、肥満症の適応で承認を取得している薬です。

院長

Fumitaka Haseda

日本糖尿病学会、日本内科学会、日本ダイエットコーチング協会所属など、ダイエットに関して、しっかりとした知識と経験をもち、きめ細かいサポートで成功に導く寄り添う医療が信条のドクター。