人生最後のダイエット

ケトジェニックダイエットとは?その実践方法と注意点

『ケトジェニックダイエットって最近よく聞くけど、いったいなに?』
『どうやってやるのかわからない』
『気を付けないといけないことってあるの?』

そんな疑問を解決する記事を用意しました。

この記事では、ケトジェニックダイエットについての
・どんなダイエットなのか
・具体的なやり方や注意点は?
という疑問を解決することができます。

この記事を読むと、ケトジェニックを効果的に実施するコツがわかります。
記事の後半では、効果的にダイエットを成功させるための注意点などもシェアしています。

ケトジェニックダイエットとは

ひとことで言うと、身体を”ケトジェニックな状態”にすることで脂肪を燃焼しやすい状態を作るダイエット法です。
では、ケトジェニックな状態になるには、どうすれば良いでしょうか?

私たちの身体の中では「ブドウ糖」もしくは「ケトン体」という物質を材料にエネルギー源を作ることで活動することができます。
最近では、ほとんどの人がご飯やパン、麺などを主食にしているので、ブドウ糖をエネルギー源として活動しているといえます。
また、ブドウ糖の方がエネルギー源として使いやすいため、ケトン体をメインに使ってもらうには糖質を減らす必要があります。

最新の知見によると、ケトジェニックダイエットは2型糖尿病患者においてインスリン抵抗性を改善し、HbA1cを平均0.9%低下させる効果があることが確認されています(Westman et al., 2020)。
また、肥満患者では6ヶ月間で平均7.2kgの減量効果が報告されています(Bueno et al., 2013)。

糖質制限・カロリー制限との違いは?

ケトジェニックダイエットも「食事から糖質の量を減らす」という点では糖質制限の一つといえますが、厳密には両者には大きな違いがあります。
単純に摂取する糖質の量を減らす「糖質制限」に対し、ケトジェニックダイエットでは三大栄養素「タンパク質・脂質・炭水化物」のバランスを意識した食生活を徹底する必要があります。

たんぱく質はプロテイン(Protein)・脂質はファット(Fat)・炭水化物はカーボ(Carbohydrate)なので、それぞれの頭文字を取って「PFCバランスを意識する」と表現されます。
極端な糖質制限や同じものばかりを食べる”非科学的なダイエット”では、一時的に体重が減ることはあっても、筋肉量や代謝も一緒に落ちてしまうため、逆に太りやすくなる可能性もあります。

また、長期的な糖質制限が腸内細菌の多様性を減少させ、免疫機能の低下を引き起こすリスクがあることが報告されています(David et al., 2014)。
そのため、身体に不可欠な栄養素をしっかりと摂りながら適正な体重に近づけるためには、PFCバランスを知ったうえで食事のコントロールをすることが大切です。

<糖質制限とケトジェニックの違い>
糖質制限は「糖質の摂取量を調整」、ケトジェニックは「PFCバランスを管理」

ケトジェニックダイエットのやり方|成功の秘訣3選

ケトジェニックダイエットを成功させるポイントは以下の3つです。

①PFCバランスから各栄養素の摂取量を厳密に計算する
②糖質を制限して体内の糖質を枯渇させる
③良質な脂質を選び、そこからカロリーを確保する

ケトジェニックダイエットの流れ

1. 1日の摂取カロリーを計算

性別や年齢、日々の活動量にもよりますが、一般的に女性は2,000kcal、男性は2,500kcal前後が適正な1日あたりの摂取カロリーであるといえます。
日常的に運動をしている方やデスクワークで1日500歩くらいしか歩いていないような方は個別に調整する必要があります。

2. PFCバランスから栄養素別の摂取カロリーを算出

「たんぱく質:脂質:炭水化物」の比をカロリー単位で「3:6:1」にします。
簡単にいうと、1日に摂取すべきカロリーが2,000kcalの人は、摂取カロリーの割合をタンパク質から600kcal、脂質から1,200kcal、炭水化物から200kcalにするということです。

3. カロリーをグラムに変換

2で算出した摂取カロリーを使ってグラム単位に変換します。
それぞれの栄養素の1グラムあたりのカロリーは以下の通りです。

タンパク質:4kcal/g
脂質:9kcal/g
炭水化物:4kcal/g
つまり、

たんぱく質:600kcal → 150g
脂質:1,200kcal → 133g
炭水化物:200kcal → 50g
このように変換できます。

1日に摂って良い炭水化物はたった50gだけ、つまり「おにぎり1つ食べてもアウト」という厳しい糖質制限でもあることがわかります。
しっかりと体内の糖質を枯渇させることで、ケトンをメインにエネルギーとして使い始めます。

4. 決められた栄養摂取量を満たす食事をする

いきなり「何を何グラム」と言われてもイメージが付きにくいかもしれませんが、最近では食事の写真を撮って送信するだけでPFCバランスに基づいた栄養摂取量を計算して記録してくれるアプリもたくさんあります。
それらを利用するのも一つの方法です。

食べて良いもの・ダメなものは?

食べてOKとされている食品

・肉
・魚介類
・卵
・土の上で育つ野菜
・ナッツ
・脂肪と油
・一部の乳製品

特に、糖質を極端に制限しながらも普段と同じカロリーを摂らないといけないので、どれだけ質の良い脂肪分・油分を摂取できるかが大切です。
最近、コンビニなどでよく目にする「ロカボ」というシリーズはあくまで”低糖質”でしかなく、ほとんどの糖分とでんぷん質は食べてはいけません。
フルーツや人工甘味料もNGなので、ダイエットコーラなどもダメです。

カロリーカットの調味料も糖質制限中にはNG

実際に、野菜に分類されるものの中にも糖質が多く含まれているものがあります。
徹底的な糖質制限とPFCバランスを独学で管理することは非常に難しく、これがケトジェニックダイエットがうまくいかない原因の一つです。

ケトジェニックダイエットを行う際の注意点

ケトジェニックダイエットは糖質制限の一種でもあるため、さまざまなリスクが伴います。

ブドウ糖が作れないから脳が働かなくなる?

ケトジェニックダイエットでは、ケトン体がブドウ糖の代わりとして脳のエネルギー源となるため、問題ありません。
また、肝臓や脳の一部はどうしてもブドウ糖を必要としますが、摂取する分で十分補えます。
万が一足りなくなる分は体内で作られるため、心配は不要です。

たんぱく質の分解により筋肉量が落ちる?

何も食べない状態が長く続くと、身体は筋肉のタンパク質を分解して糖質を作ろうとします。
ただし、糖質の代わりにタンパク質や脂質をしっかり摂取できれば、筋肉量低下の心配はありません。

長期間のケトジェニックダイエットは毒にもなる

正しい方法でダイエットを行っていても、その期間が長くなると、筋肉量低下、代謝低下、減量効果の減退、リバウンドなどのリスクが出てきます。
これらのリスクを避けるためにも、ケトジェニックダイエットは短期間に集中して行い、その後は脂質制限やゆるめの糖質制限に移行することが推奨されます。

また、長期的なケトジェニックダイエットが心血管疾患のリスクを増加させる可能性や、腸内細菌叢への影響が指摘されています(Mansoor et al., 2016; Morrison et al., 2020)。
これらのリスクを考慮し、専門家の指導のもとで行うことが重要です。

まとめ

ケトジェニックダイエットは「厳しい糖質制限によって身体をケトジェニックな状態にし、脂肪を燃えやすくする」方法です。
PFCバランスからカロリー・栄養素の摂取量を計算し、糖質を徹底的に制限しなくてはならず、食べてはいけないものも多いため、個人で行うのは簡単ではありません。
また、糖質を過度に制限すると、他の脂質・タンパク質から代わりにカロリーを摂取しなくてはならず、単純に糖質を減らすだけでは筋肉量の低下を引き起こすリスクがあります。

長くても2〜3ヶ月で集中的に行うダイエット方法であり、持病や体重過多の原因によってはケトジェニックダイエット自体が適していない場合もあります。
まずはダイエット外来での診察・栄養指導を受けることをお勧めします。

平山医師

医師

Hirayama Takashi

いつでも安心して、専門医に相談できるクリニックで、健康的なダイエットをサポートします。