【意外と低い】筋肉が基礎代謝に占める割合とエネルギー消費量の内訳
「基礎代謝って何に消費されてるの?」
「とにかく筋トレをすれば基礎代謝が上がる?」
そんな疑問を解決する記事を用意しました。
【この記事でわかること】
・消費エネルギーの60%が基礎代謝
・臓器ごとの基礎代謝の内訳
・筋トレより身体活動レベルを高める方が重要
記事の前半では消費エネルギーと基礎代謝の関係、後半では基礎代謝が身体の中でどのような内訳で行われているのかを紹介します。
この記事を読むことで、基礎代謝がエネルギー消費においてどんな役割を持っているかを知ることができ、消費エネルギーを高めるための行動に活かすことができます。
エネルギー消費の60%を占める基礎代謝
私たちがエネルギーを消費するのは運動をしているだけとは限りません。たとえ座っているときも、体温維持・心臓の拍動・呼吸など、生命を維持するための”生きているだけで消費するエネルギー”があります。
いわゆる、心身ともに穏やかな状態で消費される”最小限のエネルギー代謝”のことを「基礎代謝」といいます。
ちなみに、1日に消費するエネルギーのうち、なんと約60%は基礎代謝によるものです。つまり、日常生活を送っているだけで、かなりの量のエネルギーが消費されているんです。
残りのエネルギー消費量のうち、運動や日常生活としての身体活動に30%、食事誘発性熱産生に10%が使われます。
身体活動量
日常生活の中での活動、例えば
・歩く
・家事をする
・仕事をする
・運動をする
などに消費されるエネルギー量です。
身体活動で消費されるエネルギー量は、身長・体重などの活動強度、活動時間によって決まります。
日本医師会のホームページにも、身体活動をどのようにレベル分けするのかについての具体的な指標が掲載されています。(1日に必要なカロリー推定エネルギー消費量)
身体活動レベル
・レベル Ⅰ
生活の大部分が座位で、静的な活動が中心の場合
・レベル Ⅱ
座位中心の仕事だが、職場内での移動や立位での作業・接客等、あるいは通勤・買物・家事、軽いスポーツ等のいずれかを含む場合
・レベル Ⅲ
移動や立位の多い仕事への従事者。あるいは、スポーツなど余暇における活発な運動習慣をもっている場合
食事誘発性熱産生(DIT)
食事誘発性熱産生をひとことで言うと、”食事をするときに消費するエネルギー”です。
ご飯を食べたときに、身体が温かくなるのを感じたことはありませんか?
それは、この食事誘発性熱産生によって発生したエネルギーによるものなんです。
どのくらいのエネルギーを消費するかは、食べ物に含まれる栄養素によって違います。
例えば、
・たんぱく質:摂取カロリーの約30%
・糖質:摂取カロリーの約6%
・脂質:摂取カロリーの約4%
のようになっていますが、通常の食事ではさまざまな栄養素が含まれているので食事から摂取するカロリーの約10%程度と考えて良いです。
この食事誘発性熱産生は、加齢や運動不足により筋肉が衰えると低下します。また、よく噛んで食べる方が高くなるといわれています。
「筋肉が多い人=基礎代謝が高い」は嘘?
結論、筋肉をつければ基礎代謝は上がります。
ただし、筋肉をつけさえすれば良いというわけではありません。
なぜなら、基礎代謝における筋肉が占める割合は、全体の20%程度だからです。
以下の表にあるように、実は脳や肝臓は骨格筋と同じ程度のエネルギーを消費しています。
基礎代謝臓器ごとの消費割合
というわけで、
「筋肉を増やすだけで代謝が上がり、みるみる脂肪が落ちる」というのは難しいでしょう。
ただ、筋肉には身体を支えたり、熱を放出して体温調整をする働きがあります。
筋肉を増やすことで、日常生活も活動的になりやすく、エネルギー消費量が高まることが考えられます。
まとめ
・基礎代謝は全体のエネルギー消費の60%
・骨格筋が全体に占める割合は12%(基礎代謝の20%)
・効率的に消費量を増やすには「身体活動」が優先(>筋力アップ)
筋肉が占める割合は意外に低く、さまざまな臓器でエネルギーが消費されていることがわかりました。
そのため、基礎代謝の部分は個人の努力で増やしていくことが難しく、「身体活動量」や「摂取カロリー」の管理などで調整していく必要があります。
筋力トレーニングは運動習慣の定着にも繋がりますので、筋肉を増やすことにこだわらず、身体活動レベルを上げていってはいかがでしょうか。