人生最後のダイエット

GLP-1ダイエット中の食事、専門医が徹底解説!大阪梅田健美クリニックが教える効果を高める5つのポイントと注意点

【この記事のポイント】

・GLP-1ダイエットは「薬を飲めば何を食べても痩せる」わけではない

・効果を最大化するには「何を」「どのように」食べるかが重要

・副作用を和らげ、安全に続けるための食事の工夫を専門医が解説

・アルコールや極端な食事制限に潜むリスクと正しい付き合い方

近年、医療ダイエットの選択肢として注目を集める「GLP-1受容体作動薬」。SNSなどでは「痩せホルモン」とも呼ばれ、無理な食事制限なく体重をコントロールできると話題になっています。

しかし、治療を始めた方、あるいはこれから始めようと考えている方の中には、「薬を飲んでいれば、食事は今まで通りでいいの?」「もっと効果を出すにはどうすればいい?」「副作用が心配…」といった疑問や不安をお持ちの方も多いのではないでしょうか。

GLP-1受容体作動薬は、もともと2型糖尿病の治療薬として開発されたものであり、当院では、その特性を熟知した専門家の視点から、安全かつ効果的な医療ダイエットをサポートしています。

結論から申し上げますと、GLP-1ダイエットの成功は、薬の効果を最大限に引き出す「食事術」にかかっています。この薬は魔法の杖ではなく、あくまで皆さんのダイエットを強力にサポートするパートナーです。

このコラムでは、GLP-1ダイエットの効果を高め、安全に継続するための食事のポイントと注意点を、医学的根拠に基づいて徹底的に解説します。

なぜGLP-1ダイエット中でも食事が重要なのか?

GLP-1受容体作動薬には、主に2つの働きによって体重減少をサポートする効果があります 。  

1.食欲の抑制: 脳の満腹中枢に働きかけ、自然と食欲を抑えます。

2.満腹感の持続: 胃の内容物の排出を遅らせることで、少ない食事量でも満腹感が長続きします。

この「自然と食欲が落ち、少ない量で満足できる」状態を活かして、食生活の質そのものを見直すことこそが、GLP-1ダイエットの真髄です。

逆に言えば、薬の効果に頼りきって高カロリーな食事を続けたり、栄養バランスが偏った食事をしたりしていては、十分な効果は得られません 。GLP-1ダイエットは、薬の力を借りて「太りにくい食習慣」を身につける絶好の機会なのです。  

【専門医が教える】GLP-1ダイエットの効果を高める5つの食事ポイント

では、具体的にどのような食事を心がければ良いのでしょうか。5つの重要なポイントに分けて解説します。

ポイント1:「何を」食べるか?GLP-1の働きを助ける食材選び

GLP-1ダイエット中は、ただカロリーを抑えるだけでなく、積極的に摂るべき栄養素があります。

食物繊維を最優先に

食物繊維、特に海藻やこんにゃく、大麦などに含まれる水溶性食物繊維は、腸内で善玉菌のエサとなり、「短鎖脂肪酸」という物質を作り出します。この短鎖脂肪酸が腸を刺激し、自分自身の体内からのGLP-1分泌を促すことがわかっています 。  

  • 積極的に摂りたい食材: 玄米、もち麦、オートミール、わかめ・めかぶなどの海藻類、きのこ類、ごぼう、オクラ  

良質なタンパク質を十分に

食事量が減ると、筋肉の材料となるタンパク質も不足しがちです。筋肉量が落ちると基礎代謝が低下し、かえって痩せにくい体になってしまいます。体重1kgあたり1gのタンパク質を目安に、毎食しっかり摂取しましょう 。  

  • 積極的に摂りたい食材: 鶏むね肉、ささみ、サバ・イワシなどの青魚、卵、豆腐・納豆などの大豆製品、無糖ヨーグルト  

血糖値を安定させる「低GI食品」を意識する

GI(グリセミック・インデックス)とは、食後の血糖値の上昇度合いを示す指標です。高GI食品は血糖値を急上昇させ、インスリンの過剰分泌を招き、脂肪を溜め込みやすくします。血糖値の乱高下を避ける「低GI食品」を中心に食事を組み立てましょう 。  

  GI値の目安 食品例
高GI食品 70以上 白米、食パン、うどん、じゃがいも、菓子類
中GI食品 56~69 パスタ、さつまいも、とうもろこし
低GI食品 55以下 玄米、全粒粉パン、そば、葉物野菜、きのこ類、肉・魚類、乳製品、ナッツ類
 

ポイント2:「どのように」食べるか?食べ方の工夫で効果が変わる

良い食材を選んでも、食べ方次第で効果は半減してしまいます。以下の3つの工夫を実践してみてください。

  • 食べる順番は「食物繊維→タンパク質→炭水化物」: いわゆる「ベジファースト」です。最初に野菜や海藻類を食べることで、血糖値の急上昇を穏やかにし、満腹感も得やすくなります 。  

  • ゆっくり、よく噛んで食べる: 満腹中枢が刺激されるまでには約20分かかると言われています。よく噛むことで食事時間が長くなり、食べ過ぎを防ぐことができます 。  

  • 朝食を抜かない: 朝食を摂ることで、1日のGLP-1分泌リズムが整い、昼食後や夕食後の血糖値上昇も抑えやすくなります(セカンドミール効果)。  

ポイント3:副作用を和らげる食事の工夫

GLP-1ダイエットの開始初期には、吐き気や便秘などの消化器症状が出ることがあります 。食事の工夫で和らげることが可能です。  

  • 吐き気・胃もたれがある場合: 揚げ物やクリーム系の食事など、脂質の多いものは避け、消化の良いおかゆやうどん、豆腐などを中心にしましょう 。  

  • 便秘になりがちな場合: 食事量が減ることで便秘になることがあります。意識的に水分を1日1.5~2リットル摂り、きのこや海藻類などの食物繊維を積極的に食事に取り入れましょう 。  

ポイント4:間食の賢い選び方

「どうしてもお腹が空いた」「口寂しい」という時は、我慢しすぎる必要はありません。ただし、スナック菓子や甘いジュースは避け、栄養価の高いものを選びましょう。

  • おすすめの間食: 無糖ヨーグルト、チーズ、素焼きのナッツ類(1日20粒程度)、ゆで卵  

ポイント5:水分補給を忘れずに

水分は、代謝をスムーズにし、便通を改善するためにも不可欠です。食事量が減ると食事から摂れる水分も少なくなるため、意識してこまめに水を飲む習慣をつけましょう。

 

【厳守】GLP-1ダイエット中に特に注意すべきこと

安全にダイエットを進めるために、必ず守っていただきたい注意点があります。

アルコールの摂取は慎重に

GLP-1ダイエット中のアルコール摂取は、低血糖のリスクを高めるため注意が必要です 。特に空腹時の飲酒は非常に危険です。また、アルコール自体が高カロリーであり、食欲を増進させる作用もあるため、ダイエット効果を妨げる可能性があります 。  

どうしても飲む場合は、糖質の少ない蒸留酒(ハイボール、焼酎など)を少量にし、必ず食事と一緒に摂るようにしてください。

極端な食事制限は絶対にNG

「薬で食欲がないから、何も食べないでおこう」といった絶食や断食は、重篤な低血糖を引き起こす可能性があり、非常に危険です 。GLP-1受容体作動薬は、血糖値が高い時にインスリン分泌を促すため、単独使用では低血糖を起こしにくい薬ですが 、食事を全く摂らない場合は別です。  

めまいや冷や汗、動悸などの症状が出た場合は、すぐに糖分(ブドウ糖、飴、ジュースなど)を補給してください 。  

副作用が辛いときは自己判断しない

吐き気や下痢などの消化器症状は、多くの場合、治療を続けるうちに体が慣れて改善していきます 。しかし、症状が日常生活に支障をきたすほど辛い場合や、我慢できない腹痛がある場合は、自己判断で薬を中止したりせず、必ず処方した医師に相談してください。  

まとめ:GLP-1ダイエットは専門医との二人三脚で

GLP-1ダイエットは、正しく理解し、適切な食事管理と組み合わせることで、これまでのダイエットで挫折してきた方にとっても、非常に有効な選択肢となり得ます。

【GLP-1ダイエット中の食事 5つの鉄則】

1.食物繊維・タンパク質・低GI食品を中心に選ぶ

2.「野菜から」「よく噛んで」食べる

3.副作用に合わせて食事内容を工夫する

4.間食は「質」で選ぶ

5.アルコールと極端な食事制限は避ける

これらのポイントを実践することで、薬の効果を最大限に引き出し、健康的で持続可能な体重管理が可能になります。

大阪梅田で専門医による医療ダイエットをお考えなら

大阪梅田健美クリニックでは、GLP-1受容体作動薬の処方に加え、生活習慣病の専門医である院長が、患者様一人ひとりの体質やライフスタイルに合わせた食事指導・栄養カウンセリングを行っています。

「自分に合った食事法がわからない」「副作用が心配」など、どんな些細なことでも構いません。医学的根拠に基づいた、安全で効果的なダイエットを二人三脚でサポートします。ご興味のある方は、ぜひ一度、当院の無料カウンセリングにお越しください。


 

よくある質問(FAQ)

Q1: GLP-1ダイエット中は、外食はできますか?

A1: はい、可能です。ただし、メニュー選びが重要になります。定食であれば野菜の小鉢が多いものを選ぶ、揚げ物を避けて焼き魚や蒸し鶏を選ぶ、ご飯を少なめにしてもらうなどの工夫を心がけましょう。

Q2: プロテインを飲んでも良いですか?

A2: はい、良質なタンパク質を手軽に補給できるため、特に食事量が減りがちな方にはおすすめです。ただし、製品によっては糖質が多く含まれているものもあるため、購入前に成分表示を確認することをお勧めします。

Q3: 食事を気をつけているのに、なかなか体重が減りません。

A3: 体重が減らない原因はいくつか考えられます。無意識のうちに摂取カロリーが消費カロリーを上回っている、運動習慣が全くない、あるいは処方されている薬の量が適切でない可能性も考えられます。自己判断で薬の量を変更することは絶対にせず、まずは一度、処方した医師にご相談ください。


 

参考文献

  1. 日本医師会. かかりつけ医のための糖尿病(食事療法・運動療法)のてびき. 2022.

  2. 日本医師会. すぐに役立つ日常診療における薬剤処方のてびき(第3版). 2019.

  3. Smits MM, Van Raalte DH. Safety of semaglutide. Front Endocrinol (Lausanne). 2021;12:645563.

  4. 日本糖尿病学会. 糖尿病治療ガイド2024-2025. 2024.

  5. Nauck MA, Quast DR, Wefers J, Meier JJ. GLP-1 receptor agonists in the treatment of type 2 diabetes – state-of-the-art. Mol Metab. 2021;46:101102.

  6. He L, Wang J, Ping F, et al. Association of Glucagon-Like Peptide-1 Receptor Agonist Use With Risk of Gallbladder and Biliary Diseases: A Systematic Review and Meta-analysis of Randomized Clinical Trials. JAMA Intern Med. 2022;182(5):513-519.

  7. Gipson D, Tchang B. Nausea and Vomiting with Glucagon-Like Peptide-1 Receptor Agonists: A Review for the Practicing Clinician. Endocr Pract. 2024;30(1):79-87.