人生最後のダイエット

血糖値の変動を抑える食べ方のコツ

この記事を最後まで読むと、「空腹と血糖値の関係」について理解でき、あなたの空腹の原因がどこにあるのかを自分で考えられるようになります。
また、記事の後半で紹介する「血糖値の変動を抑える食べ方のコツ」を実践することで糖尿病の予防にもなります。

「偽の空腹感」が起こる原因【食べてすぐにお腹が空くのはなぜ?】

食べた直後にもかかわらず、空腹を感じる場合は「血糖値の乱高下」が原因となっている可能性があります。
血糖値が急に上昇すると、身体はインスリンを分泌し、血糖値を下げようとします。
その結果、血糖値の急降下が起こり、食欲を調整しているホルモンのバランスがおかしくなり、「偽の空腹感」が生じます。
このとき、血糖値を上昇させる食事とは、具体的に以下のようなもののことです。

・糖質が多い食事
・高GI値の食品

「食べた直後なのにお腹が減る」といった悩みがあるなら、普段の食生活を見直してみましょう。
上記のような血糖値の変動を起こしやすい食事ばかりになっている場合、糖尿病のリスクが高くなっている可能性があります。

糖尿病の人が空腹を感じやすいメカニズム

糖尿病の方は、前述したような「偽の空腹感」が起きやすい身体になっています。
その原因として以下のようなものがあります。

・インスリン作用の低下
・レプチンとグレリンのバランスの乱れ

それぞれ解説します。

インスリン作用の低下

糖尿病の方は、

・インスリンの分泌が不足する
・身体がインスリンに抵抗性を示す

といった原因からインスリンが効きにくく、血糖値が高い状態になっています。
身体は必死にインスリンを分泌するものの、今度は血糖値が下がり過ぎた結果、空腹感を感じやすくなってしまうのです。

レプチンとグレリンのバランスの崩れ

糖尿病の方では、食欲をコントロールしているホルモンのバランスが崩れやすくなっています。
食欲を調整しているホルモンは、

・レプチン:食欲を抑制
・グレリン:食欲を促進

であり、糖尿病の方ではレプチンへの抵抗性が高まり、これらのバランスが崩れて空腹を感じやすくなることがわかっています。
また、レプチンは血糖コントロールの改善や、糖尿病の合併症予防など、さまざまな役割で注目されているホルモンです。

参考元:Thomas H. Meek. The role of leptin in diabetes: metabolic effects. Diabetologia(2016). 59:928–932.

高血糖以外に食後の空腹を引き起こす原因5選

食べてすぐにお腹が空く原因は「血糖値の変動」だけではありません。
以下のような原因にも注意が必要です。

・食物繊維の不足
・脂肪分の不足
・睡眠不足
・水分不足
・ストレス

それぞれ解説します。

食物繊維の不足

食物繊維は、腸内でゆっくりと吸収されるため、満腹感が持続しやすくなります。
つまり、食物繊維が十分に取れていないと、すぐに空腹感がやってきてしまいます。
毎日の食生活で以下のような「食物繊維が豊富な食品」を摂るようにしましょう。

・オートミール
・こんにゃく
・りんご
・ひじき
・いんげん豆

脂肪分の不足

脂肪分は腹持ちがよく、消化が遅いため、満腹感が続きやすくなります。
脂肪分を多く摂りすぎると、カロリーが高くなるので注意が必要です。
ただし、カットし過ぎるのも問題があり、空腹を感じやすくなってしまいます。
適切に脂肪分を摂取することで、空腹感を抑えることができます。
血糖値が高い方が脂肪分を摂るためには「不飽和脂肪酸を多く含む食材」を選ぶようにしましょう。
不飽和脂肪分を含む食品は以下のようなものがあります。

・オリーブオイル
・アボカド
・サーモン
・くるみ
・アマニ油

参考元:Bridget A. Clinical Outcomes of Dietary Replacement of Saturated Fatty Acids with Unsaturated Fat Sources in Adults with Overweight and Obesity: A Systematic Review and Meta-Analysis of Randomized Control Trials. Annals of Nutrition and Metabolism(2017), 2017;71:107–117.
Yan Ni, Circulating Unsaturated Fatty Acids Delineate the Metabolic Status of Obese Individuals, EBioMedicine 2 (2015), 1513-1522.

睡眠不足

睡眠不足は、「偽の空腹感」を引き起こす原因となります。
慢性的な睡眠不足は糖質コルチコイドを過剰に分泌させ、血糖値の上昇につながります。
また、眠っている間に分泌される成長ホルモンやレプチンなどの「食欲を抑えるホルモン」が不足し、空腹感が強く出ることもあります。
十分な睡眠時間を確保し、睡眠の質を高めることで、空腹感を抑えることができます。

参考元:三島和夫. “睡眠と生活習慣病との深い関係”. 厚生労働省 e-ヘルスネット. https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/heart/k-02-008.html

水分不足

水分不足はさまざまな理由から、空腹感を引き起こす原因になる可能性があります。
体内の水分が少なくなると、血液の粘度が上がり、血流が悪くなります。
結果、酸素や栄養素が届きにくくなり、エネルギー不足を感じやすくなります。
また、脱水気味になると消化機能が落ち、食べものを十分に消化できなくなり、空腹感が続くこともあります。
適切な水分量には個人差があるものの、1日に1.5~2リットルほどを目安に飲むとよいでしょう。

ストレス

ストレスが空腹感を引き起こす原因となることもあります。
ストレスによって体内に放出されるホルモンがいくつかあり、それらは「ストレスホルモン」と呼ばれています。
ストレスを受け続けると、代表的なストレスホルモンであるコルチゾールが過剰に分泌され、血糖値が上昇してしまいます。
結果、「インスリンの過剰分泌→血糖値の急降下」が起き、空腹感が強く出ることがあるのです。
リラックスする時間を確保し、ストレスをうまくコントロールすることが空腹感を抑えることにつながります。

食後の「空腹感」を抑えるためのコツ【血糖値の変動を抑える】

「食べてすぐなのにお腹が空いている」ということがよくあるなら、食事の仕方を見直した方がよいかもしれません。
多くの場合、「血糖値の変動」が原因となっていて、他にも栄養バランスの乱れが空腹感を引き起こす可能性があります。
ここでは血糖値の変動を抑えるために食生活を見直す具体的なポイントを5つ紹介します。

・糖質の摂取量を抑える
・低GI食品を選ぶ
・食物繊維や脂質を十分に摂る
・栄養バランスをととのえる
・食事を小分けにする

それぞれについて詳しく解説します。

糖質の摂取量を抑える

いくら食べてもお腹が空いている、と感じるのは、糖質の摂り過ぎが原因かもしません。
糖質の摂取量を抑えることで、血糖値が大きく変動するのを防ぐことができます。
主食を玄米や麦ごはんに変えたり、パスタやうどんをそばに変えるだけでも糖質の量を減らすことができます。
普段から、野菜や豆類、魚介類などのたんぱく質でカロリーを摂るように心がけるとよいでしょう。

低GI食品を選ぶ

満腹感を感じにくく、食べ過ぎてしまう方は、低GI食品を選ぶようにするとよいでしょう。
GI値が低い食品では、糖がゆっくり取り込まれ、血糖値の上昇もゆるやかになります。(※)
GI値が低い食品には、以下のようなものがあります。

・玄米
・全粒粉パン
・そば
・キヌア
・豆類
・野菜類

上記の食品を摂ることで、血糖値の上昇を抑えることができます。
例えば、

・白米を玄米へ
・食パンを全粒粉パンへ
・ラーメンをそばへ

といった感じで、まずは普段の主食をGI値の低いものに置き替えてみるのがオススメです。

間接引用(※)青江 誠一郎監修. GIについて学ぼう. 大塚製薬公式HP. https://www.otsuka.co.jp/health-and-illness/glycemic-index/glucose-level/

食物繊維や脂質を十分に摂る

食後すぐに空腹を感じるのは、食物繊維が足りていないのかもしれません。
食物繊維を含む食品を食べると、血糖値の上昇をゆるやかにしてくれます。
また、脂質が不足していないかにも気をつけてみましょう。
脂肪分の摂り過ぎは肥満の原因になるため注意が必要ですが、腹持ちが良いエネルギー源であり、不足していると空腹を感じやすくなります。
「食物繊維」「質の高い脂肪分」を含む食材は、記事の前半で紹介しているのでチェックしてみてください。

栄養バランスをととのえる

栄養バランスが偏った食事をしていると、血糖値のコントロールが難しくなります。
一食ごとに「野菜・たんぱく質・炭水化物・脂質」のバランスに気をつけるようにしましょう。
栄養バランスが摂れた食事を続けることが、血糖値を安定させるカギになります。

食事を小分けにする

一回の食事の量が多くなってしまうなら、食事を小分けにするのが有効です。
小分けにすると、一回の食事あたりの量が減り、血糖値の変動を抑えられます。
「1日3食だけど、満腹感が続かない」という方は、「1日5~6回」に食事を小分けしてみるとよいでしょう。
食事の回数が増えることでカロリーが増えてしまってはいけないので、「一回あたりに食べる量」には注意してください。

まとめ

この記事では以下の内容を解説しました。

・「偽の空腹感」が起こる原因
・糖尿病の人が空腹を感じやすいメカニズム
・高血糖以外に食後の空腹を引き起こす原因
・食後の「空腹感」を抑えるためのコツ

食後すぐの空腹感は、血糖値の変動が原因となっていることが多く、普段の食生活を見直す必要があります。
記事の中で紹介した以下のポイントに気をつけて血糖値の上がりにくい食事を心がけるようにしましょう。

・糖質の摂取量を抑える
・低GI食品を選ぶ
・食物繊維や脂質を十分に摂る
・栄養バランスをととのえる
・食事を小分けにする

また、糖尿病・高血糖があると、空腹感が強くなる傾向があり、放置すると悪化する可能性があります。

糖尿病の初期症状は自覚症状がないものが多いものの、動脈硬化により前進にさまざまな影響を起こします。
空腹感以外にも気になることがある場合は、専門のクリニックで一度検査しておくことをオススメします。

平山医師

医師

Hirayama Takashi

いつでも安心して、専門医に相談できるクリニックで、健康的なダイエットをサポートします。