糖尿病の主食は玄米で決まり!白米との違いと血糖値への効果を解説
糖尿病の方にとって、食事は血糖コントロールのためにとても重要です。 とくに主食である炭水化物(糖質)として何を選ぶかによって、血糖値の変動が大きくなります。
日本人の多くが主食とする白米は「高GI値食品」と呼ばれています。 これは食後の血糖値を上げやすい食品であるため、玄米や雑穀など、別のものに置き替えると よいとされています。
この記事では、「玄米は白米と何が違うのか」「玄米が糖尿病になぜよいのか」といった内容を明 らかにします。 記事の後半では「簡単に玄米を摂る方法」を紹介しているので参考にしてみてくださいね。
玄米と白米と違い【精米・栄養価・GI値】
白米は玄米を精米したお米。
玄米は、お米の実からもみ殻だけを取り除いたもので、ぬか層や胚芽がついたままのお米です。
一方、白米はお米の実からもみ殻・ぬか・胚芽をすべて取り除いてあり、胚のみになったお米のことをいいます。
玄米は白米より栄養価が高い。
玄米と白米では、その栄養価にかなりの違いがあります。
とくに玄米では
・食物繊維 ・ビタミン ・ミネラル ・葉酸
などを多く含んでいます。 一方、白米では、これらの栄養素は精米の過程で失われてしまいます。 白米の大半を占めるのは、エネルギー源となる炭水化物です。
玄米に比べると、糖質と食物繊維のバランスが悪くなっているため、栄養価の偏りが出てしまうのです。
玄米は白米よりGI値がかなり低い
GI値とは、食品ごとに食後血糖値の上がりやすさを示した指標です。
GI値が高い食品では、食後に血糖値が急上昇するリスクが高いといえます。 玄米と白米のGI値は以下の通りです。
食品名 | GI値 |
玄米 |
55 |
白米 | 77 |
玄米は白米よりもGI値が低く、食べた後の血糖値が上がりにくい食品であることがわかります。
ここでは、玄米はぬか層や胚芽を残したお米であり、栄養価が高く、GI値が低い食品であること を示しました。
続いて、慢性的に血糖値が高い状態となっている糖尿病の方が玄米を食べるべき理由を解説します。
糖尿病に玄米がおすすめな理由
玄米は、血糖値を抑える食材として優秀です。 玄米を取り入れることで、糖尿病の方の血糖コントロールもしやすくなるでしょう。 「GI値」「食物繊維」「γ-オリザノール」といった3つのポイントに注目して解説します。
玄米は血糖値を上げにくい低GI食品
つまり、お米を食べた後の血糖値は上昇しやすいため、量や食べ方に気をつけなければなりません。
一方、玄米は白米と比べるとGI値が低く、食後の血糖値上昇がゆるやかな主食と言えます。
玄米は、糖尿病や糖尿病予備軍の方にとって、血糖値を上げにくい貴重な主食であると言えるでしょう。
玄米は食物繊維が豊富な主食だから
玄米の外皮や内皮、胚芽にはさまざまな栄養素が含まれています。
それらを取り除かずに食べられる玄米は、栄養面でも優秀です。
とくに水溶性の食物繊維は糖やコレステロールの吸収をゆっくりにしてくれるため、血糖値の上 昇を抑えることができます。
玄米は膵臓を守る「γ-オリザノール」を多く含むから
2型糖尿病の原因の一つに、「インスリンを分泌するβ細胞の減少」があります。
β細胞の数が少なくなるとインスリンの分泌量が減るため、血糖値を十分に下げられなくなってし まうのです。
これに対して、琉球大学の研究から、玄米に含まれる「γ-オリザノール」という成分にβ細胞を守る 作用がある可能性が示唆されました。
玄米はγ-オリザノールを含む天然の食材であるため、今後の研究に注目が集まっています。
Hiroaki Masuzaki et al; Brown Rice and Its Component, γ-Oryzanol, Attenuate the Preference for High-Fat Diet by Decreasing Hypothalamic Endoplasmic Reticulum Stress in Mice. Diabetes 2012;61(12):3084–3093
<玄米が血糖値によい3つのポイント>
・GI値が低い ・食物繊維を多く含む ・γ-オリザノールを含む
上のような理由から、玄米は糖尿病の方にもおすすめの食材である、といえます。 続いて、普段の生活の中で手軽に玄米を摂る方法を紹介します。
簡単に玄米を摂取できるレシピ
ここまでに、玄米は糖尿病の方の血糖コントロールによい理由を解説してきました。
ここでは、「簡単に玄米を食事に取り入れたい」という方のために、玄米を手軽に摂れる方法を2 つ紹介します。
玄米フレーク
もっとも手軽なのは、シリアルの一種である玄米フレークを使うことです。
一般的なスーパーマーケットであれば、どこでも玄米フレークを手に入れられるでしょう。 そのまま食べるだけなので手間がかからず、忙しい朝でも習慣化しやすいのでおすすめです。 玄米フレークの1食分の目安は「およそ40g、カロリー150kcal、糖質33.7g」となっています。
玄米炊き込みご飯
玄米も炊き込みご飯にすると、シンプルな味付けでおいしく食べることができるでしょう。
材料は玄米の他に、鶏肉、人参、しいたけなどを使います。
鶏むね肉は低脂肪で高たんぱくな食材でもあるので、栄養バランスの優れた一品になります。
玄米は白米よりヘルシーではありますが、少なからず糖質を含む食材です。
たとえ玄米でも、食べ過ぎると血糖値の上昇を起こしてしまうため、とくに量には注意して食べましょう。
玄米で血糖値にやさしい健康的な食生活を
玄米は、食物繊維やビタミンをはじめとする栄養素を豊富に含む食品です。 白米と比べると、血糖値の上昇を抑えたり、インスリンの分泌を促す効果が期待されます。
玄米を手軽に摂取できる方法として玄米フレークや炊き込みご飯が効果的であるものの、食べ 過ぎると血糖値を上げる原因になります。一度に食べる量には注意しましょう。
もちろん、糖尿病の方にとっては、玄米の摂取が根本的な治療になるわけではありません。 食事を楽しみながら、運動や内服治療と合わせて血糖コントロールを続けていきましょう。