HbA1c値だけが高いのはなぜ？
糖尿病は血糖値の管理が非常に重要となる病気です。その血糖値の1～2カ月間のコントロール状態を示す指標として「HbA1c（ヘモグロビンA1c）」というものがあり、糖尿病の診断や管理によく用いられます。しかし、血糖値が正常範囲内にあるにもかかわらず、HbA1c値だけが高いといった場合があります。糖尿病でHbA1c値だけが高くなることがあるのはなぜでしょうか？ここでは、その原因と対策について解説していきます。
糖尿病でHbA1c値だけが高くなるのはなぜ？
糖尿病でHbA1c値だけが高くなることがありますが、その原因としては以下のような項目があげられます。
血糖値の変動
血糖値が日中大きく変動している場合、平均の血糖値が正常範囲内であっても、HbA1c値が高くなることがあります。例えば、食後の高血糖状態（食後に血糖値が急上昇する状態）と低血糖状態（血糖値が急激に低下する状態）が頻繁に起こっていると、血糖値の平均値が正常範囲内であってもHbA1c値は高くなる傾向があります。
血糖値を測定するタイミング
自己血糖測定を行うタイミングによっては、血糖値が正常範囲であるように思えることがあります。例えば、食前や空腹時の血糖値は正常でも、食後の血糖値が高い場合はHbA1c値が高くなることがあります。血糖値のピークを見逃している場合、実際の血糖管理状態を正確に反映できないことがあります。
血糖値の測定方法の違い
血糖値は指先からの血液で測定する自己血糖測定器（SMBG）を用いることが多いですが、HbA1cは血液検査で測定されます。測定方法の違いによって、血糖値とHbA1c値に多少のギャップが生じることがあります。
赤血球の寿命
HbA1cは赤血球の寿命に依存します。赤血球の寿命が長いとHbA1c値が高くなる場合があります。特定の遺伝的要因や健康状態（例：貧血、腎不全）が赤血球の寿命に影響を与えることがあります。
血糖コントロールの変化
血糖値のコントロールが改善されていても、HbA1cは過去1〜2ヶ月の平均を反映するため、過去の高血糖状態が影響を与え続けることがあります。逆に、急に血糖値が悪化した場合でも、直近のHbA1c値には反映されないことがあります。
HbA1c値だけが高い場合の対策と注意点
糖尿病でHbA1c値だけが高い場合は、以下のような対策と注意点が考えられます。
定期的な血糖測定
自己血糖測定を定期的に行い、食前・食後の血糖値をモニタリングし、血糖値の変動パターンをしっかりと把握することは大切です。これにより、食後高血糖を見逃さずに対処できるようになります。
食事と運動の管理
食事の内容や食事をするタイミングを改善し、食後の血糖値上昇を抑えてくれる低GI（グリセミック指数）食品を選ぶことも有効となります。また、食後に適度な運動を取り入れることで、血糖値の急激な上昇を抑えることができます。
定期的にクリニックに受診を
定期的に医師の診察を受け、血糖値管理の全体的な評価を受けるようにしてください。HbA1c値だけが高い場合、医師と相談して治療計画を見直すことが重要です。現在の薬物療法の見直しを行い、症状に応じた適切な治療を受けるようにしてください。
赤血球の寿命を確認
必要に応じて赤血球の寿命や他の健康状態を評価するための追加検査を受けることを推奨しています。貧血や腎機能の評価も重要となります。
お問い合わせ
糖尿病でHbA1c値だけが高い場合、血糖値の変動、血糖値を測定するタイミング、測定方法の違い、赤血球の寿命など様々な要因が考えられます。これらの要因を総合的に評価していき、医師と相談の上適切な対策を講じることで、HbA1c値の改善と糖尿病の効果的な管理が可能となります。
HbA1c値で異常を指摘されている方はお気軽にご相談してください。糖尿病専門医の資格を持っている院長が皆様の健康状態にあった最適な治療計画をサポートしていきます。
