HbA1c値の基準値とは?
糖尿病は慢性的に高血糖状態が続くことで生じる病気で、その管理には血糖値のコントロールが非常に重要となります。血糖値の状態を把握するための指標として、「HbA1c(ヘモグロビンA1c)」というものがあります。では、糖尿病のHbA1c値の基準値とは何でしょうか?今回は糖尿病のHbA1c値について説明をさせていただきます。
HbA1cとは?
HbA1cは、赤血球中にあるヘモグロビンにブドウ糖が結合したもので、過去1〜2ヶ月の平均血糖値を示すものとなります。HbA1c値は血液検査で測定されますが、糖尿病の診断や治療効果の評価で活用されています。
HbA1c値の基準値とは?
HbA1c値はパーセンテージ(%)で表されます。健康な人の場合の基準値は以下に示している通りです。
・正常範囲:4.0%〜5.6%
・糖尿病予備軍:5.7%〜6.4%
・糖尿病:6.5%以上
このHbA1c値の基準値は、ここ1~2カ月間の血糖値の状態を反映するため、日々の血糖値の変動に影響を受けず、HbA1c値は安定した管理指標となります。
糖尿病の治療における目標値とは?
糖尿病の治療を受けている患者さんにとって、HbA1c値の目標値は非常に重要となります。一般的に、糖尿病の治療目標は以下のように設定されています。
・良好な管理状態:7.0%未満
・妥協できる管理状態:7.0%〜8.0%
・不十分な管理状態:8.0%以上
上記のようにHbA1c値の値をみて治療状態を確認していきます。ただし、目標値は個々の患者さんの年齢、合併症の有無、治療状況などによって異なる場合があります。医師と相談しながら、ご自身にあったHbA1c値の目標値を設定していただくことが重要です。
HbA1c値が高いときのリスクとは?
HbA1c値が高い状態が続くと、血糖値が慢性的に高い状態となっていることでもあり、様々な合併症のリスクが高まってしまいます。具体的には、以下のような健康問題が生じる可能性があります。
・心血管疾患:動脈硬化、心筋梗塞、脳卒中など
・腎臓病:糖尿病性腎症
・神経障害:糖尿病性神経障害
・網膜症:糖尿病性網膜症による視力低下や失明
上記のような病気の発症リスクを減らすためには、HbA1c値を目標範囲内に維持することが大切となります。
HbA1c値を改善する方法
糖尿病の治療で、HbA1c値を目標範囲内で維持させるためには、以下のような方法が効果的となります。
バランスの取れた食事
ごはんなどの糖質摂取を適切に管理し、低GI(グリセミックインデックス)食品を選ぶことが有効となります。過度な食事制限などはせず、バランスのよい食事内容を意識してください。
定期的な運動
有酸素運動や筋力トレーニングなどは効果があるといわれています。ご自身にあった適度な運動を日常的に取り組むようにしていただければと思います。
血糖値のモニタリング
自身で血糖値の測定を行っていただき、血糖値の変動を把握して食事や運動の調整に役立てることは大切です。最近ではご自宅でも簡易的に血糖値やHbA1c値を測定することができるようになっていますので、ご興味のなる方はお気軽にご相談してください。
薬物療法
ご自身の血糖値やHbA1c値をみて、医師の指示のもと適切なお薬を内服していただく必要があります。
ストレス管理
ストレスを感じていると血糖値に影響を与えると言われており、リラックスできるように趣味の時間などを確保するようにしてください。
お問い合わせ
糖尿病のHbA1c値の基準値とは、1~2カ月感の血糖値の状態を表しているものであり、糖尿病治療においては非常に重要な指標となります。
HbA1c値などの正常範囲、糖尿病予備軍、糖尿病の基準値をしっかりと理解していただき、ご自身にあった目標値を医師と相談して設定するようにしてください。HbA1c値を適切に管理することができると、糖尿病による合併症のリスクを低減し、健康的な生活を維持することができます。些細なことでも構いませんので、糖尿病の治療について・HbA1c値についてご不明点がありましたらお気軽にご相談してください。