人生最後のダイエット

食べてもお腹が空いてしまう方へ

糖尿病は、血糖値が慢性的に正常値を超えて高い状態が続いています。糖尿病の症状の中で『食べてもお腹が空く』といった症状があります。なぜ糖尿病が発症すると、食事をしたにも関わらずお腹が空くといった症状が発症してしまうのでしょうか?

糖尿病の主な原因は、インスリンというホルモンの分泌不足、またはインスリン抵抗性です。インスリンは体内で糖分をエネルギーに変えるために必要となるホルモンです。糖尿病の患者さんの場合はインスリンが適切に機能しないため、食事から摂取した糖分が血液中から細胞内に取り込まれなくなり、エネルギーの産出が減ってしまいます。

この結果、細胞内でエネルギー不足となってしまい、脳が『もっと糖分が必要』と勘違いをしてしまいます。これが、糖尿病による食べてもお腹が空いてしまう原因です。

さらに、糖尿病患者さんの中には、血糖値の急激な変動を経験してしまう方もいます。食べた後は一時的に血糖値が上昇しますが、その後は血糖値が急激に低下する場合があります。この急激な血糖値の変動も、空腹感を引き起こす要因の一つとなります。特に、炭水化物や糖分が多い食事を摂取した後にこの現象が顕著に現れます。

食べてもお腹が空いてしまう原因について

糖尿病の患者さんが食べても食べてもお腹が空いてしまう原因について、説明をさせていただきます。糖尿病に関連する空腹感の原因としては主に以下のような項目が原因となります。

インスリンの分泌不足、インスリンの機能不全

インスリンは膵臓から分泌されるホルモンで、血液中を流れている糖分(グルコース)を細胞に取り込み、エネルギーとして利用してくれる役割があります。糖尿病の患者さんでは、インスリンが分泌されない、インスリンの効きが悪くなる「インスリン抵抗性」となっている状態です。

■1型糖尿病では免疫系が誤って膵臓のβ細胞(インスリンを生成する細胞)を障害してしまうため、インスリンの分泌量が減ってしまいます。

■ 2型糖尿病では体の細胞がインスリンに対して抵抗性を持ってしまい、インスリンの効果が減少してしまいます。その結果、血液中の糖分が細胞内に取り込まれずに高血糖状態が続いてしまいます。

1型糖尿病、2型糖尿病のいずれの場合でも、細胞内ではエネルギー不足と認識されてしまい、脳から食事を促すための信号が送られてしまい空腹感を感じるようになります。

血糖値の急激な変動

糖尿病の患者さんは、食後などに血糖値の急激な変動を経験する場合があります。特に、炭水化物や糖分が多い食事の後は、血糖値が急激に上昇し、その後は血糖値が急激に下降することがあります。

食事後に血糖値が急に上昇してしまうと一時的に高血糖状態となり、この時、インスリンの効果が不十分だと血糖値は高いままになります。そのため、血糖値を下げるために過剰にインスリンを分泌してしまい、急激に血糖値が下がっていき低血糖状態となってしまいます。低血糖状態になってしまうと体は緊急事態と認識し、食事を促すために空腹感を感じるようになります。

ホルモンバランスの乱れ

糖尿病は、インスリンだけでなく他のホルモンバランスにも影響されます。特に、空腹感に関連するホルモンにはグレリンとレプチンというものがあります。

グレリン

グレリンは胃から分泌されるホルモンで食欲を刺激します。糖尿病の患者さんでは、グレリンの分泌量が増加することがあり、慢性的に空腹感を感じることがあります。

レプチン

レプチンは脂肪細胞から分泌されて食欲を抑制してくれるホルモンです。糖尿病の患者さんでは、レプチン抵抗性となることがあります。レプチンが正常に機能しないと、食欲が抑えられなくなります。

食べてもお腹が空く際の対処法

糖尿病で食べてもお腹が空いてしまう際の対処法として、上記の原因を踏まえ、糖尿病による空腹感に対する具体的な対策を意識していただければと思います。ぜひ参考にしてみてください。

低GI食品を選択する

低GI(グリセミックインデックス)の食品を選ぶことで、食後の血糖値の急激な上昇を防いでくれます。低GIの食品の例としては、全粒穀物、豆類、野菜などが該当します。

規則正しい食事をする

朝食を抜くなどの食事の間隔が空きすぎていると血糖値が下がりすぎてしまい、強い空腹感を感じる場合があります。そのため、毎日決まった時間帯で朝昼夜と三食を食べるようにしてください。

食物繊維を豊富に含む食べ物を食べる

食物繊維は消化を遅らせる効果があり、満腹感を長持ちさせてくれます。食物繊維を豊富に含む食べ物としては、野菜、果物、海藻類、全粒穀物、豆類などがあります。

適度なタンパク質と脂質を摂取する

タンパク質や脂質を含む食品を適度に食べるようにすることで、満腹感が持続します。これにより、食事後の急激な血糖値の上昇を抑えてくれます。

水分の補給

糖尿病の空腹感の対処法として、水分摂取をすることも大切です。喉の渇きが空腹感と混同する場合がありますので、定期的にこまめに水分を摂取する習慣をつけてください。

適度な運動をする

運動することでインスリンの効果が高まり、血糖値のコントロールに効果があります。また、運動はストレスの解消にも繋がりますので、メンタル面からくる空腹感を抑えてくれます。

糖尿病の患者さんが食べてもお腹が空くという症状を軽減させるために、上記のような対策を意識していただくことが大切です。主治医や管理栄養士と相談をしていただき、ご自身にあった食事内容と生活習慣を改善していただければと思います。それが糖尿病の治療において重要となります。

糖尿病の治療の重要なポイントとして、医師や管理栄養士とも連携して、皆様の状況に合った食事・運動と生活習慣を見つけることです。血糖値を適切に管理することで、糖尿病による食べてもお腹が空く症状を軽減させることができるようになります。

お問い合わせ

糖尿病による食べてもお腹が空くといった空腹感でお困りの方は、お早めにご相談してください。当院では糖尿病の専門医である院長が専門的に診察を行っております。決して自分一人で抱え込まず、専門家の助けを借りることが糖尿病と向き合うための最善の方法となります。些細なことでも構いませんので気になることがありましたらお気軽にお問い合わせください。

平山医師

医師

Hirayama Takashi

いつでも安心して、専門医に相談できるクリニックで、健康的なダイエットをサポートします。