糖尿病の間食はNG?血糖値を上げないコツ5選【おやつのタイミング】
・糖尿病の人は間食を食べてはダメなの?
・血糖値を上げない間食の摂り方が知りたい
・間食を摂るべき時間帯っていつ?
・糖尿病でも食べられる間食のおすすめは?
こういった悩みを解決する記事を用意しました。
この記事では「糖尿病・血糖値と間食の関係」について、詳しく解説します。
結論、血糖値のコントロールができているなら、間食を食べても問題ありません。
ただし、食べる食品・タイミング・量などによって、血糖値への影響は大きく異なります。
この記事で解説する
・糖尿病と間食の関係
・糖尿病でも血糖値を上げない間食のポイント
・糖尿病の人が間食を摂るべきタイミング
・血糖値を上げないおすすめの間食
といった内容をすべて読み終えると、正しい間食の摂り方のコツを理解でき、糖尿病の悪化を予防することができるでしょう。
記事の後半では、具体的なおすすめの間食を挙げているので、必ず最後まで読んでチェックしてみてください。
糖尿病と間食の密接な関係【血糖値はどうなる??】
まずは、糖尿病と間食の関係について解説します。
この章でわかることは以下の通りです。
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・血糖値管理の必要性
・間食が血糖値に与える影響
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糖尿病と血糖値
糖尿病とは、ブドウ糖の代謝が正常に行われず、血中の糖分が過剰になってしまう病気のことです。
通常、食前の血糖値は70~100mgの範囲で保たれています。
これは膵臓から分泌されるインスリンのおかげで、血糖値がコントロールされているからです。
ただ、糖尿病の方では、インスリンが不足していたり、十分に機能していないため、うまく血糖値を下げることができません。
結果、高血糖(血糖値が高い状態)が続き、身体にさまざまな問題を起こします。
では、間食は糖尿病にどのような影響を与えるのでしょうか。
間食が血糖値に与える影響
間食とは、食事と食事の間に食べる食事、つまり、主な食事以外に摂る食事のことを指します。
間食の血糖値への影響は、摂取する食品の種類や量、タイミングなどで変わるため、注意が必要です。
あまりにも食事の間隔が長いと、急激な血糖値の上昇を招いてしまいます。
よって、適切な間食は必要であるものの、食べるものによっては逆効果になってしまうでしょう。
特に糖尿病の方は、普段の血糖値が高いことが多いため、「高血糖になりやすい」といえます。
次の章で紹介する5つのポイントを押さえて、正しい間食の摂り方を実践しましょう。
糖尿病でも血糖値を上げない間食のポイント5選
血糖値の急上昇を起こさないために、押さえるべきポイントは以下の通りです。
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・カロリーは100kcalを目安に
・糖質は10g以下に
・たんぱく質がおすすめ
・食べ過ぎには注意
・あくまで「おまけ」
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それぞれのポイントについて詳しく解説します。
「どのような食品を選ぶべきか」といった具体的な例も挙げるので、必ずチェックしてくださいね。
カロリーは150kcalまで
一般的には、間食のカロリーとして「1日に摂る総カロリーの1割程度が適量」とされています。
つまり、
男性:200kcal
女性:180kcal
あたりを目安にするとよいでしょう。
ただし、血糖値が高い方などで摂取カロリーが制限されている場合は、それに伴い間食の適正カロリーは変動します。
血糖値が気になる方は、150kcal(女性は120kcal)までに押さえておくことをおすすめします。
150kcalの間食の目安
150kcalの間食の具体例は以下の通りです。
・市販の春雨スープ
・コールスローサラダ
・大福(小1個)
・ナッツ(20~30g)
・小分けのヨーグルト
ケーキやジュースを摂ると、それだけでカロリーオーバーになるため注意が必要です。
参考:e-ヘルスネット(間食のエネルギー)https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/food/e-03-013.html
糖質は10g以下に
間食ではカロリーだけでなく、糖質量を低く抑える必要があります。
「日本人の食事摂取基準2020」には、明確な糖質の摂取量目安は設けられていないのが現状です。
ただし、糖質の適正摂取を提唱する「ロカボ」という考え方では、「間食として摂る糖質を10g以下に抑えるのが望ましい」とされています。
糖質10g以下の食品としては
・チーズ
・アーモンド
・ゆで卵
などが挙げられます。
最近では、コンビニなどでも糖質を抑えた商品を目にすることが多くなりました。
低糖質のチョコレートやスナックを利用すれば、間食のバリエーションも増えておすすめです。
参考:「日本人の食事摂取基準2020」 https://www.mhlw.go.jp/content/10904750/000586553.pdf
たんぱく質を摂る
たんぱく質には血糖値の上昇をゆるやかにする作用があります。
矢部らの研究(※)では、栄養素を摂取する順番による血糖値の変化についてまとめています。
炭水化物より先にたんぱく質や脂質を摂取することで食後の血糖上昇を抑えられる可能性を示しました。
また、たんぱく質による満腹感は長く続きやすく、過食を防ぐことにつながります。
間食を選ぶ際には、
・魚肉ソーセージ
・チーズ
・豆腐
という「たんぱく質を多く含む食品」がおすすめです。
※1:摂取栄養素と高血糖. 食後血糖と栄養素摂取の順番(糖尿病 59(1):30~32,2016) https://www.jstage.jst.go.jp/article/tonyobyo/59/1/59_30/_pdf/-char/ja
食べ過ぎに注意
いくら間食として優れている食品でも「食べ過ぎ」は毒になります。
「あと少し」のくり返しで、気づいた頃にはかなりの量を食べてしまい、血糖値が上がってしまうのは問題です。
適正な間食の量を知り、一度に摂取する間食の量を少なくするように心がけましょう。
間食ごとの摂取量を少なくするためには、以下のような方法がおすすめです。
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・フルーツは1回分の大きさにカットする
・ナッツは小分けになっているものを飼う
・食べものを見えるところに置かない
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上記の方法を実践し、食べ過ぎを避けられるようにしましょう。
あくまで「おまけ」と認識
間食は、主食のサポート的であり、あくまで「おまけ」と認識することが大切です。
前の項目で「食べ過ぎ」について触れました。
間食でも通常の食事と同じ量を食べてしまうと、総カロリーは増えやすく、血糖値や体重の管理が難しくなります。
また、お菓子を食べたいからといって朝食を抜いたり、夕食を減らして寝る前に夜食を食べたりするのも問題です。
間食に頼ると栄養の偏りが出やすいため、身体活動に必要なエネルギーはバランスの取れた食事から摂るように心がけましょう。
糖尿病の人が間食を摂るべきタイミング【夜はNG】
この章では、間食を摂るべきタイミングについて解説します。
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・間食を摂るのにおすすめの時間帯
・間食のタイミングと血糖値の関係
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この章を読むと、上記の項目について理解でき、自分に合った間食のタイミングがわかるようになります。
間食を摂るのにおすすめの時間帯【朝食~昼食or昼食~夕食】
結論として、間食を摂るべきなのは「1日で血糖値がもっとも下がるタイミング」です。
間食から次の食事までの間が長いと血糖値は下がり切ってしまいます。
一方、間食後、すぐは血糖値が上がっているので、高血糖になるリスクが高まります。
つまり、
・朝食と昼食の間
・昼食と夕食の間
のいずれかで間食を摂るのがおすすめです。
夜の間食がNGな理由3選
夜の間食がおすすめできない理由として、以下の2つがあります。
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・BMAL1(ビーマルワン)が多く分泌される
・消化されにくく睡眠の質が低下する
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なぜ、夕食後の間食がダメなのか、整理しておきましょう!
BMAL1(ビーマルワン)が多く分泌される
ビーマルワンには余ったエネルギーを脂肪にかえて蓄える作用があります。
そして、体内にビーマルワンが多い時間帯は太りやすく、その分泌のピークが「夜」なのです。
体内時計の調整をするたんぱく質である「BMAL1」の分泌量は1日の中で大きく変動します。
ビーマルワンは12時間周期で増減をくり返し、
・朝:下がり始める
・日中(14時):ほとんど分泌されない
・日没:上がり始める
・深夜(22時):もっとも多く分泌される
それぞれの時間帯では上記のような変動が見られます。
つまり、夜に間食すると脂肪がつきやすく、肥満の原因になります。
消化されにくく睡眠の質が低下する
夕食の後、つまり、寝る前に食事をすると、普段より消化に負担がかかります。
すると、寝ている間も内臓は働かないといけないため、睡眠の質が下がってしまうのです。
Brandtらの研究によると、「睡眠の質と血糖値の変動には相関があり、質の低い睡眠は血糖コントロールの悪化を招く」としています。
他にも睡眠と糖代謝に関する報告は多数あり、睡眠の質を下げるためにも夜間遅くの間食は控える方がよいでしょう。
※2)Dietary survey in Japanese patients with type 2 diabetes and the influence of dietary carbohydrate on glycated hemoglobin: The Sleep and Food Registry in Kanagawa study(Tadashi Yamakawa et al.,2018)
※3)糖代謝における睡眠の重要性. 慶應保健研究, 37(1), 023 – 028(後藤伸子, 2019). http://www.hcc.keio.ac.jp/ja/research/asetts/files/37-3.pdf
糖尿病におすすめの血糖値を上げない間食3選【糖尿病でもOK】
糖尿病でも安心して食べられる間食を厳選して3種類紹介します。
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・ フルーツ
・ ナッツ類
・ たんぱく質が摂れる食品
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それぞれの具体例を挙げて、詳しく解説してます。
フルーツ
フルーツは、食物繊維とともに自然な糖分が含まれており、満足感の高い間食としておすすめです。
米国糖尿病学会(ADA)によると、フルーツは一般的に低GI食品(※5)とされており、血糖値の上昇をゆるやかにします。
※5)GI値が55以下で、血糖値が上がりにくい食品
・バナナ(93kcal/本)
・りんご(53kcal/個)
・キウイ(51kcal/個)
・みかん(49kcal/個)
といったフルーツはおやつに手軽に摂れるのでおすすめです。
果糖を含んでいるため、食べ過ぎには注意しましょう。
参考:食品成分データベース https://fooddb.mext.go.jp/freeword/fword_select.pl
ナッツ類
ナッツ類は、食物繊維や良質な脂肪分、ビタミンEを含み、血糖値の急上昇を防ぐのに役立ちます。
ナッツの種類によって、カロリーは前後しますが、だいたい「手のひらに軽く乗る程度」が適量です。
それぞれのナッツのカロリー目安(10gあたり)は以下の通りです。
・マカダミアナッツ:72kcal
・アーモンド:61kcal
・ピスタチオ:60kcal
・カシューナッツ:57kcal
・ピーナッツ:56kcal
1日に摂るべき量(20~25g)は意外に少ないため、食べ過ぎには注意しなければなりません。
また、味付けによっては思わぬ血糖値の上昇を引き起こしてしまうため、「無塩タイプ」のものを選ぶようにしましょう。
参考:食品成分データベース https://fooddb.mext.go.jp/freeword/fword_select.pl
たんぱく質が摂れる食品
記事の前半でも解説したように、たんぱく質を含む食品は血糖値の上昇を抑えてくれます。
例えば、
・ゆで卵(90kcal/個)
・チーズ(45kcal/小分け1個)
・牛乳(130kcal/コップ1杯)
・豆腐(50kcal/小分け1個)
・ヨーグルト(62kcal/100g)
などは、たんぱく質を含む間食として優秀です。
上記の食品はカロリーが高いため、1日の活動レベルがあまり高くない方は食べる量に気をつけるようにしましょう。
間食に関するよくある質問
糖尿病でもハイカカオチョコを食べていい?
ハイカカオチョコレートは通常に比べると、砂糖の量が少なく、ポリフェノールなどの抗酸化物質が豊富でおすすめです。
ただし、食べ過ぎには注意が必要です。
適量を超えると体重増加の原因となり、血糖値のコントロールが難しくなってしまいます。
糖尿病でもゼロカロリーのジュースは飲める?
ゼロカロリージュースは、糖分を含まないため血糖値に影響はありません。
しかし、一部の研究では、甘味料が食欲を増進させる可能性があることが示されています。
ゼロカロリーだからといって何本も飲んだり、たくさんのお菓子と一緒に摂るのはやめましょう。
糖尿病には甘くないおせんべいがおすすめ?
たとえ、甘くないおせんべいでも、原料はお米です。
糖質が含まれているため、味に惑わされずに量を摂り過ぎないようにしましょう。
甘くないおせんべいも、原料が主に米であるため、炭水化物(糖質)が多く含まれています。
まとめ
この記事では、糖尿病・血糖値の高い方における間食の摂り方について解説しました。
記事で解説した内容は以下の通りです。
・糖尿病と間食の関係
・糖尿病でも血糖値を上げない間食のポイント
・糖尿病で間食を摂るべきタイミング
・糖尿病におすすめの血糖値を上げない間食
間食はあくまで主食のサポートであり、食べ過ぎには注意が必要です。
ただし、今回の記事で紹介したカロリーや糖質量の上限を理解し、たんぱく質や食物繊維を含む食品を上手く摂ることで血糖値の上昇を抑えられます。
間食を摂るタイミングも大切なので、自分の生活リズムの中で、食事と食事の間隔が長くなっているところを知っておきましょう。
食べ過ぎを防止するために、間食1回分ずつのフルーツやナッツなどを用意しておき、普段は目の届かないところに保管しておくと効果的です。
今回の記事の内容を参考に、間食を上手く利用して血糖値管理をしていきましょう。
※1:摂取栄養素と高血糖. 食後血糖と栄養素摂取の順番(糖尿病 59(1):30~32,2016)
※2:Dietary survey in Japanese patients with type 2 diabetes and the influence of dietary carbohydrate on glycated hemoglobin: The Sleep and Food Registry in Kanagawa study(Tadashi Yamakawa et al.,2018)
※3:糖代謝における睡眠の重要性. 慶應保健研究, 37(1), 023 – 028(後藤伸子, 2019)